エンジニアが年収を上げる3つの方法|転職・昇格・副業を採用担当目線で比較

エンジニアとして長く働いていると、ある時期から「このまま今の給与で続けて大丈夫だろうか」「同期や同年代の他社エンジニアと比べて自分の年収はどうなんだろうか」という疑問が頭をよぎります。

私自身、エンジニア歴17年の中で、1社目から現職へ転職して年収を大きく上げた経験と、現職在籍中に転職活動をしてJACリクルートメントから内定をもらった経験があります(最終的には現職にとどまる選択をしました)。また、現職ではチームリーダー・採用担当を兼務しており、転職市場での年収交渉や、社内での昇格による年収アップの実態を両側から見てきた立場です。

ただし、エンジニアとして案件を受けるかたちの副業については私自身の経験がなく、周囲のフリーランス・副業エンジニア仲間へのヒアリングと公開情報の調査をもとにまとめています。実体験ではない部分は「ヒアリングベース」「調査ベース」と明記しています。

この記事では、エンジニアが年収を上げるための現実的な3つのルート——「転職」「社内での昇格」「副業」——を、それぞれのメリット・デメリット・向いている人の観点で整理します。

この記事でわかること

  • エンジニアが年収を上げる3つの現実的なルートと、それぞれのリターン感
  • 各ルートのメリット・デメリット・向いている人
  • 採用担当・転職活動経験者として感じる、年収アップの本音
  • 自分に合うルートの選び方
目次

なぜエンジニアは「同じ会社にいるだけ」で年収が上がりにくいのか

最初に前提として、日本のIT企業の昇給事情を整理しておきます。

採用担当として転職希望者と話していると、現職での年収アップ幅に物足りなさを感じている方が非常に多い印象です。具体的には、毎年の定期昇給では年収数万円〜十数万円程度の上昇にとどまるケースが多く、「数年勤めてもほとんど変わらない」という声をよく聞きます。

これは個別の会社だけの問題というより、年功的な給与テーブルや固定昇給率を採る会社で起きやすい構造です。たとえ高いパフォーマンスを発揮しても、給与テーブル上の上限が決まっているため、大きな年収ジャンプは起きにくい仕組みになっています。

一方、転職市場ではエンジニアのスキル・経験に対する評価が比較的フェアに行われ、特にIT・Web系のエンジニアに対する需要は高い状態が続いています。同じスキルレベルでも、所属する会社が変わるだけで年収が100万円〜200万円変わるケースは、採用担当として日常的に目にしています。

つまり、「年収を上げる」ためには、社内の昇給を待つ以外の選択肢を意識的に持っておくことが、エンジニアにとって現実的なキャリア戦略になります。

エンジニアが年収を上げる3つのルート

ここから、3つのルートを順番に整理します。

エンジニアの年収アップ3ルート比較
※3ルートの特徴を概念的に整理した目安です。実際の即効性・アップ幅は個人の状況・市場環境によって変わります。詳細は本文で解説します

方法1:転職で年収を上げる

最も即効性が高く、年収アップ幅も大きくなりやすいのが転職です。

採用担当として候補者の前職年収と提示年収を見ていると、エンジニアの場合、転職時に年収が100万円以上アップするケースは、採用担当として複数見てきました。特にWeb系・SaaS企業からの引き合いが強い領域(バックエンド/フロントエンド/クラウドインフラ/データ分析等)では、スキルレベル次第で200万円以上の年収アップも実例として見てきました。

私自身、1社目から現職へ転職した際、年収が大きく上昇した経験があります。当時はマイナビエージェントを利用し、IT領域専門部署の方に担当してもらいました。担当者がエンジニアの市場価値を理解していたため、転職前の年収から大きな引き上げを実現する条件交渉ができたという実感があります。

メリット

  • 即効性が高い:入社日から新しい年収が適用される
  • アップ幅が大きい:100万円以上のジャンプも実例として珍しくない
  • 市場価値を客観的に確認できる:自分の実力を他社の評価軸で確かめられる
  • キャリアの幅が広がる:新しい技術スタック・組織文化・役割を経験できる

デメリット

  • 環境変化のストレスがある:新しい人間関係・業務フローへの適応コスト
  • 試用期間中の不安定感:契約条件によっては試用期間中の評価で扱いが変わる
  • 失敗リスクがある:入社後に「思っていたのと違う」というミスマッチが起きる可能性
  • 退職金・ストックオプションの再スタート:勤続年数がリセットされる

向いている人

  • 現職の年収カーブに頭打ち感がある
  • 新しい技術領域・役割にチャレンジしたい
  • 採用市場での自分の評価を確認したい
  • 現職の組織文化・人間関係に強い思い入れがない

採用担当として転職市場全体を見てきた経験から言うと、エンジニアの場合「転職を選択肢として持つこと自体に意味がある」と感じています。実際に転職するかは別として、転職活動を通じて自分の市場価値を知ることで、現職での交渉カードを持てるからです。

採用担当としての視点

方法2:社内での昇格・評価アップで年収を上げる

転職せずに現職で年収を上げる選択肢が、昇格や社内評価アップによる年収アップです。

採用担当として中途入社者を見ていると、入社後にしっかり成果を出して数年で次のグレード・役職に昇格していくケースがあります。特にテックリード・エンジニアリングマネージャー・PMといった役割への昇格は、エンジニアの年収を大きく押し上げる要素になり得ます。

私自身、現職でチームリーダーに昇格した際、年収が一段上がる経験をしました。エンジニア専門職と管理職的役割の両方を持つ「プレイングマネージャー型」のポジションは、企業によっては年収レンジの上限が広く設定されているため、職能等級だけでなく役割ベースで給与が決まる仕組みを持つ会社では特に効果が大きいと感じています。

メリット

  • 環境変化のストレスがない:人間関係・業務フローはそのまま
  • 退職金・ストックオプションが継続:勤続年数の評価が積み上がる
  • 会社のドメイン知識を活かせる:これまで蓄積した社内情報がそのまま価値になる
  • ロールモデルが社内にいる:先輩の昇格事例から具体的な道筋を学べる

デメリット

  • 時間がかかる:昇格には基本的に数年単位の評価期間が必要
  • 年収アップ幅が限定的:会社の給与テーブル上限の中での話になる
  • 会社の業績や人事制度に依存する:自分のパフォーマンスだけで決まらない
  • ポストの空きが必要:管理職ポジションは数に限りがある

向いている人

  • 現職の業務内容・組織文化に納得感がある
  • 数年スパンで腰を据えて成果を出していけるタイプ
  • マネジメントやリーダー役割に興味がある
  • 会社のドメイン知識・人脈を活かしたい

採用担当の視点から見ると、「同じ会社で長く成果を出し続けられる人」は、転職市場でも高く評価される傾向があります。現職で昇格を狙うルートを選んだ場合でも、転職市場での自分の価値を時々チェックする意味は大きいです。

方法3:副業で本業の年収に上乗せする

本業をそのままに、別案件で収入を増やす選択肢です。

ここでは、周囲のフリーランス・副業エンジニア仲間へのヒアリングと公開情報をもとに、副業ルートの現実的なメリット・注意点を整理します。

ヒアリングしている範囲では、副業エンジニアの収入感は案件のスキル要件・稼働時間・契約形態によって大きく変わります。週末数時間のクラウドソーシング案件で月数万円程度の人もいれば、平日夜+土日の稼働で月十数万円〜数十万円の上乗せを実現している人もいます。一律で「副業でいくら稼げる」と言える数字はないというのが、ヒアリングを通じての実感です。

メリット

  • 本業のリスクを抱えずに収入アップが狙える:副業がうまくいかなくても本業の収入は維持される
  • スキルの幅を広げられる:本業で扱わない技術領域・業界に触れる機会になる
  • 将来のフリーランス独立への準備にもなる:案件獲得・契約・納品の流れを経験できる
  • 実績やスキルを説明しやすくなる:副業で得た経験を、職務経歴や社内提案の材料にできる場合がある

デメリット

  • 時間的な負担が大きい:本業の稼働時間に加えてさらに稼働する必要がある
  • 就業規則の確認が必要:副業禁止規定がある会社もある
  • 税務処理が複雑化する:副業の所得が20万円を超える場合、確定申告が必要になることがあります。住民税申告や控除の扱いなど例外もあるため、税務署や税理士に確認しておくと安心です
  • 健康面のリスク:本業との両立で疲労が蓄積するケース

向いている人

  • 本業の安定を維持したまま収入を増やしたい
  • 将来のフリーランス独立を視野に入れている
  • 本業では扱わない技術領域・案件に挑戦したい
  • 自分のペースで稼働量を調整したい

副業を始める際の現実的なハードルや案件の探し方、フリーランスエージェントの選び方については、別記事で詳しく整理しています。記事末尾の関連記事から参照してください。

3つを組み合わせるという選択肢

ここまで3つのルートを別々に紹介してきましたが、実際にはこれらを組み合わせる選択肢もあります。

  • 現職で昇格を狙いつつ、副業で別領域のスキルを身につける
  • 副業で実績を積んでから転職市場に出る(年収交渉のカードが増える)
  • 転職で年収を一段上げてから、次の昇格を狙う

周囲のエンジニア仲間にヒアリングしていても、長期的に年収を上げ続けている人は、複数のルートを併用しているケースが多い印象です。「転職一択」「昇格一択」と決めつけず、現状に応じて選択肢を組み合わせるのが現実的なアプローチだと感じています。

自分に合うルートの選び方

自分に合う年収アップルートの判断フロー
※あくまで判断の目安です。最終的には自分の価値観・ライフプランに合わせて選んでください

判断のシンプルな目安として、以下の優先順位で考えるのが現実的です。

  1. 現職への満足度がどの程度か — 組織文化・人間関係・業務内容に違和感があれば転職を視野に
  2. どれくらいのスパンで年収を上げたいか — 短期(半年以内)なら転職/中長期(数年)なら昇格+副業の組み合わせ
  3. どこまでリスクを取れるか — 環境変化のストレスを許容できるかどうか
  4. キャリアの幅を広げたいか — 同じ領域で深めたいなら昇格/別領域も経験したいなら転職・副業
採用担当からの一言:「今すぐ動かないとしても、自分の市場価値を時々確認しておく」ことは、エンジニアにとって大きな防御策になります。転職する/しないに関わらず、エージェントに登録して相談するだけでも、市場感をつかむ材料になります。

よくある失敗パターン

ヒアリング・採用担当経験から、年収アップを目指したのに失敗するパターンを整理しておきます。

1. 年収だけを軸に転職先を選んでしまう

提示年収が高くても、業務内容・組織文化・働き方が自分に合わないと、半年〜1年で再転職を考えるケースに繋がります。採用面接でも「前職で年収だけで決めてしまい後悔した」という話は時々聞きます。

2. 副業で本業の生産性が下がる

副業の稼働で疲労が蓄積し、本業のパフォーマンスが落ちて評価が下がるケースです。本業の年収・評価が下がれば、トータルで見て収入減になることもあります。

3. 昇格を待ち続けて市場価値を見失う

昇格を狙いながら数年が経過し、社内では順当に評価されているものの、転職市場での価値が更新されていないケース。気づいたときには年齢的に転職しづらくなっていることもあります。

4. 転職活動の準備不足で交渉力を失う

年収交渉は「他社からも内定が出ている」状態が最も強いカードです。1社だけの転職活動だと交渉力が弱く、年収アップ幅が小さくなりがちです。

⚠️ 共通する注意点:年収アップを焦るあまり、自分のキャリア軸・働き方の希望を見失わないこと。短期の年収より、3〜5年スパンでのキャリア設計を意識しながら判断する方が、結果として年収も伸びやすい傾向があります。

まとめ

エンジニアが年収を上げる3つの方法を整理してきました。

ルート 即効性 年収アップ幅 リスク 主に向いている人
転職 ◎ 高い ◎ 100万円以上も 中(環境変化) 現職に頭打ち感がある人
昇格 △ 数年単位 ○ 制度の上限内 現職に納得感がある人
副業 ○ 案件次第 △ 稼働時間次第 低〜中(時間・規則) 本業を維持しつつ収入を増やしたい人

重要なポイントを再整理すると:

  • 同じ会社にいるだけでは年収は大きく上がりにくい構造がある
  • 転職は即効性とアップ幅で最も大きいが、環境変化リスクがある
  • 昇格はリスクが少ない反面、時間とポストの空きが必要
  • 副業は本業を維持しつつ収入を増やせるが、時間と健康のバランスが課題
  • 3つを組み合わせる選択肢を持つ人ほど、長期的に年収を上げ続けやすい
  • いずれのルートを選ぶ場合も、転職市場での自分の価値を時々確認しておくことが大きな防御策になる

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「もう少し全体像をつかんでから判断したい」という方向けに、IT転職エージェント5社を採用担当目線で比較した2026年版の記事もあります。

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独立を視野に入れる場合、フリーランスエージェントの比較から始めるのが現実的です。エージェントによって扱う案件の稼働日数・働き方が異なるため、自分の希望スタイルに合う1社を見つけることが重要です。

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この記事を書いた人

早川ナオのアバター 早川ナオ バックエンドエンジニア / チームリーダー・採用担当

Web系企業でバックエンドエンジニアとしてキャリアをスタートし、現在はチームリーダー・採用担当を兼務。エンジニア歴17年。採用担当として多くのエンジニア候補者の面接に関わり、採用基準の策定も担う。
転職エージェント利用経験2回(マイナビエージェント・JACリクルートメント)。採用する側・される側の両方の視点から、ITエンジニアのキャリア情報を正直に発信しています。

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